今にしてみれば、この、誰でもない、どこにもいないという性質が、初音ミクの特異性だったんだと思う。作り手であるクリプトンも、イラストを手がけたKEI氏も、初音ミクが何者なのかを知らない。初音ミクとはいったい何なのかというのは、ミクマスターたちの手を通してミク自身の声で歌われる歌の中から読み取るしかない。そうゆう状況の中で、まるで天から降ってくるミクの言葉を代わりに我々に伝えてくれるかのように、初音ミクによる自己言及的なオリジナルソングが次々と発表されていった。それは、あの当時夢中になってそれらの曲を聴き漁っていた人にしか分からない感慨かもしれない。あの時、あの瞬間、初音ミクは間違いなくモニターの向こう側に、歌声の向こう側に存在した。
February 24, 2011
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